『名前をつけてやる』

 

名もない小さな街の 名もないぬかるんだ通りで

誰も知らないような小さな街の

誰も知らないような小さな道で

似たもの同士が出会い くだらない駄ジャレを吐き笑った

僕らは出会った

他愛のない話で二人は笑いあった

ぼやけた雲の切れ間に なぜなのか安らぎを覚えて

目的など何も持たない生活の中で

君と一緒にいることが、安らぎそのものだった

まぬけなあくびの次に 目が覚めたら寒かった

そんな安らぎに慣れきって、僕は忘れていた

君がいなくなってしまうことを

急に現実に呼び戻された

暗雲の下、一時の安らぎも消えていた

名前をつけてやる 残りの夜が来て

新しく生まれ来る生命に名前をつけてやろう

残りの限られた夜が一日ずつまた減っていく

むき出しのでっぱり ごまかせない夜が来て

僕の性欲がもう抑えられないようになってきた

僕は君を欲している

名前をつけてやる 本気で考えちゃった

新しい生命を二人で創ろう

なんて、本当に思っちゃった

誰よりも立派で 誰よりもバカみたいな

世界中の誰よりも立派な名前

世界中の誰よりも親バカな名前

そんな愛のあふれた名前を

マンモス広場で8時 わざとらしく息をひそめて

いつものところで8時に

聞かれて困るような人もいないのに

それは二人だけの秘密

ふくらんだシャツのボタンを ひきちぎるスキなどを探しながら

君を抱きしめるタイミングを見計らいながら歩いていた

もう僕は我慢できなかった

回転木馬回らず 駅前のくす玉も割れず

二人で行った遊園地もいいことはなかった

電車だってそうだった

無言の合図の上で 最後の日が今日だった

君の目配せ、それだけですべてが分かった

今日が、その最後の日だったんだ

名前をつけてやる 残りの夜が来て

新しく生まれ来る生命に名前をつけてやろう

ついに最後の日になった

むき出しのでっぱり ごまかせない夜が来て

僕の欲望は抑えきれない

僕は君を欲してやまない

名前をつけてやる 本気で考えちゃった

新しい生命を二人で創ろう

なんて、本当に思っちゃった

誰よりも立派で 誰よりもバカみたいな

誰よりも立派で、誰よりも愛情を注がれた子を

そんな・・・ありえない夢を思い描いていた

名前をつけてやる 残りの夜が来て

生まれてくる子には僕が名前をつけてあげよう

ついに期限の日が来てしまったけど

むき出しのでっぱり ごまかせない夜が来て

僕の欲望は抑え切れなかった

こんなときに限ってそうだった

名前をつけてやる 本気で考えちゃった

新しい生命を二人で創ろう

なんて、本当に考えちゃった

出来もしないのに・・・

誰よりも立派で 誰よりもバカみたいな

誰よりも立派で、誰よりも愛情を注がれた子

僕らの子はそんな子なんだよ

ね、だから最期だなんていわないで・・・


感想

そのままに解釈しても良かったのかもしれません
一途に「君」を思う主人公の、一人勝手な妄想とかいうふうに
どちらにしても無理が出たので、結局上に書いてある方にしました
あと、ちょっと思ったのですが、名前=存在意義とでも読めそうですね。
名前をつける対象が二人の子供じゃなくて、「君」だったとしたら・・・
残りの日が少ない「君」の存在を証明するもの、それは遺伝子を受け継ぐ子をもうけること。
いろんな考えが頭の中で混乱しちゃって、結局良く分からない解釈になってしまいました。
次はもっと納得できるようなものが書きたいです。

 

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