『夏の魔物』

頼りない生徒会会長さんの投稿

古いアパートの ベランダに立ち 僕を見下ろして少し笑った

君は古いアパートのベランダに立って 愚かな僕を見下ろして少し笑った

なまぬるい風にたなびく 白いシーツ

なまぬるい、それでいてちょっと心地よい風にひらひらたなびく、純白のシーツ

魚もいない ドブ川越えて 幾つも越えていく二人乗りで

魚さえもいなくなったドブ川を 自転車の二人乗りで君と幾つも越えていく

折れそうな手でヨロヨロしてさ 追われるように

何かに追われるように 頼りなく

幼いだけの密かな 掟の上で君と見た

若い頃に犯しがちな 性の禁忌の上で君と作った

夏の魔物に 会いたかった・・・

二人の子供に 会いたかった・・・

大粒の雨 すぐに上がるさ 長く伸びた影がおぼれた頃

大粒の涙 もう泣き止んでくれ 暮れなずむ夕陽に照らされた影が光に溺れた頃

濡れたクモの巣が光ってた 泣いてるみたいに

一緒に泣いているのか? クモの巣も光ってた

殺してしまえばいいとも思ったけれど 君に似た

君を殺して 僕も死のうと思ったけれど やっぱり君に似ている

夏の魔物に 会いたかった・・・

二人の子供に 会いたかった・・・

幼いだけの密かな 掟の上で君と見た

若い頃に犯しがちな 性の禁忌の上で君と作った

夏の魔物に 会いたかった・・・

二人の子供に 会いたかった・・・

僕の呪文も効かなかった

「産んでほしい」という僕の要望も 君には届かなかった

夏の魔物に会いたかった・・・

二人の子供に 会いたかった・・・


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