『夏の魔物』

チェルさんの投稿

古いアパートの ベランダに立ち 僕を見下ろして少し笑った
なまぬるい風にたなびく 白いシーツ

僕らの住む古くてボロイアパート。
出掛ける時に見上げると、君はベランダで洗濯物を干していた。
夏の眩しい日差しの中、なまぬるい風が吹いていて。
君は僕に気づくと、少し笑って見送った。
その横で白いシーツも僕に手を振るように風にたなびいていた。

魚もいない ドブ川越えて 幾つも越えていく二人乗りで
折れそうな手でヨロヨロしてさ 追われるように

魚もいないドブ川のような都会の世界。
「まだ、大丈夫。まだ、越えて行けるよ。」そう言い合って、
寄り添って二人ここまで来たよね。
でも僕らは逃げてただけなのかな・・
オトナの汚れた世界から・・
君を守るためのこの腕は、ちょっと頼りなくて・・

幼いだけの密かな 掟の上で君と見た
夏の魔物に 会いたかった・・・

二人で交わした強い約束。掟。「絶対に二人一緒になろう。」
僕ら守っていくには幼すぎたのかも・・
けれど、僕は君を求めずには居られなかった。
夏の魔物の仕業のようなこの抑えられない気持ち・・

大粒の雨 すぐに上がるさ 長く伸びた影がおぼれた頃
濡れたクモの巣が光ってた 泣いてるみたいに

二人に避けられない苦難が来た。
それは夏の大粒の雨のように二人を飲み込んだ。
それは早く過ぎ去るかと思ったんだけれど、そうじゃなかった。
雨は降り止まず、僕らの生活をさらっていった・・
濡れた蜘蛛の巣が光ってたのを見たよ・・
泣いてるみたいに・・
そして君も泣いていた。
君を守れなかった。

殺してしまえばいいとも思ったけれど 君に似た
夏の魔物に 会いたかった・・・

二人一緒になるという掟を守れなければ、君を殺して僕のモノにすればいいなんて思っていたよ。
そんな覚悟もなく、簡単に考えてた。
でも、僕は君を求めずには居られなかった。
夏の魔物の仕業のようなこの気持ち・・

幼いだけの密かな 掟の上で君と見た
夏の魔物に 会いたかった・・・

君も僕もお互いを求めずにはいられなかった。
オトナに見つからないように、密かに互いを求めた。
でもそれは、幼かったからできた約束だったんだ。
果たされなかった約束・・

僕の呪文も効かなかった
夏の魔物に会いたかった・・・

これはきっと、美しくて苦い夏に潜む魔物の仕業・・
幼くてか弱い子供のようなままの二人だった。
傷つけられるのは分かっていても、夏の魔物に会いたかった・・


あたしも夏の魔物の歌詞を、解釈とまではいかないかもだけど、
あたしなりに詠み砕いてみたいと思います。。
夏の魔物が「中絶」を歌った歌だというのには、ちょっと納得がいかないので・・
載せてもらえればうれしいです。
ちなみにサムライフリスビーさんという人の解釈を、共感する部分は、参考にさせていただきました。
夏の魔物、大好きです。
 

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